ABA-VBセラピー
About ABA-VB therapy
オーティネットのABA-VBセラピーは、VBアプローチ(言語行動)の専門性と、
現代ABAの考え方に基づいた個別療育です。
ABAとは、
行動と環境(周囲)の相互作用を分析し、学習や発達支援に応用する科学的な枠組みです。
ASDの子どもたちへの支援の領域で、科学的根拠が最も多く蓄積されている、代表的な支援体系の一つです。
VBとは、
ABAという大きな枠組みの中にある、言語行動に焦点を当てたアプローチの一つです。
VBアプローチでは、言葉を単なる語彙や文法としてではなく、
生活の中で機能する行動として評価・分析します。
ABAに基づく専門的なアセスメントツールのひとつであるVB-MAPPなどを用いて、
【言語行動】【遊び】【社会性】【集団参加】【学習を妨げている要因(バリア)】を総合的に把握し、
一人ひとりに合わせたプログラム(支援計画)を作成していきます。
このページでは、オーティネットのABA-VBセラピーについて、
以下の7つの項目に分けて詳しく説明します。
※以下の項目から、各説明をご覧いただけます。
1. Modern ABA
現代ABA療育とは



ABA療育は2000年代以降、米国を中心に、
子ども本人の主体性・生活の質(QOL)・自然な場面での学習・柔軟な支援設計が
より重視されるようになってきました。
現代ABAでは、科学的根拠に基づく有効性を土台にしながら、
子ども本人のアセント(意思・意向)、尊厳、楽しさ、生活の中での意味を含めて支援を計画していく考え方です。
【日本のABA療育にある課題】
日本におけるABA療育の多くは、
「問題行動を減らす」「机上課題が中心」「反復練習」「大人の指示に従う」といった
内容が中心になりやすいのが現状です。
そして、それらの課題に対して、報酬(ごほうび)を使って参加を促す方法が、今でも広く用いられています。
しかし、課題や人工的な報酬をベースに進める方法では、子どもの興味や意思が十分に反映されにくく、
課題への抵抗や、習得したスキルを生活の中で使えるようにすること、
つまり、般化の難しさにつながることがあります。
現代ABAは、
本人が何を伝えようとしているのか、どのような環境であれば参加しやすいのか、
その行動がQOL(生活の質)にどのようにつながるのかを分析し、組み立てる支援です。
【アメリカでの変化と現代ABAへの発展】
アメリカでも、かつては支援の中で、子どもを大人の基準に合わせることや、
問題行動を抑えること、課題をできるようにすることが目的化してしまう時期がありました。
しかし、さまざまな研究を重ねる中でABAは時代や社会の価値観に合わせて発展してきました。
本人の意思や尊厳、QOL、社会的妥当性、そして支援を受ける側の負担に目を向け、
行動を管理するのではなく、生活の中で意味のある行動レパートリーを広げることが重視されるようになりました。
アメリカでは、専門家だけでなく、本人・家族・社会全体が
「何をできるようにするか」だけではなく、
「どのように生活につながるのか」を大切にするABAが主流になっています。
【 今の日本に必要な現代ABA】
日本ではまだ、この現代ABAの考え方が十分に広がっているとは言えません。
ABA療育という名称でも、マニュアルや課題、問題行動への対応に偏っているケースも少なくありません。
オーティネットでは、
子どもの生活全体を見立て、意味のある行動のレパートリーを広げていく現代ABAを提供しています。
現代ABAは、
従来のABAを否定するものではなく、時代や価値観に合わせて進化・発展してきたABA療育です。
2. Assessment
専門的アセスメント
ABAセラピーでは、まず子どもの「現在地」を丁寧に把握することが重要になります。
オーティネットでは、
VB-MAPP・AFLS・EFLなどのアセスメントツールを用いながら、専門的アセスメントを実施します。
行動観察、実際の関わり、保護者の方へのヒアリングを通して、
【言語】【遊び】【社会性】【生活スキル】【集団参加】【学習を妨げている要因】などを総合的に分析をします。
限られた時間の観察だけでは、日常のどのような条件で行動が起きているかを把握しきれないため、
家庭・園・学校での様子を伺うことも、ABAにおける重要なアセスメントです。
【複数の領域から、全体像を捉える】
ABAにおけるアセスメントは、「できる」「できない」を判定することではありません。
その子が現在、どんな行動のレパートリーを持っているのか、
その行動がどの場面で成立し、どの場面では成立しにくくなるのかを丁寧に把握することです。
・欲しいものを自分から伝える
・見たものや経験したことを相手に伝える
・言われた言葉に応じて行動する
・質問に答える
・会話のキャッチボールをする
・遊びを広げる
・相手をまねする
・人と関わりを持つ
・集団場面に参加する
こうした行動を、「マンド」「タクト」「リスナー反応(受容)」「模倣」「遊び」「社会性」
「イントラバーバル」「集団スキル」「生活スキル」など、複数の領域から整理していきます。
【行動が成立する条件を見極める】
行動が成立しやすい条件と、成立しにくい条件も確認します。
・促されればできるが自分からは使いにくい
・セラピーではできても、日常では難しい
・特定の大人や場所でだけ行動が成立する
・課題になると避けようとする
・好きな活動から切り替えが苦手
といった点も重要な情報です。
さらに、これまでの学習履歴(経験)や生活の中で身についてきた行動パターンも確認します。
たとえば、
泣く・怒ることで活動が終わる経験が繰り返された場合、
その行動が難しい場面を避ける手段として身についていることがあります。
【優先して育てる行動を判断する】
このように、ABAのアセスメントでは、スキルそのものだけでなく、
生活環境、学習履歴、行動が起こりやすい条件、学習を妨げている要因を含めて、
子どもの現在地を把握していきます。
つまり、
アセスメントは単なるチェックリストではなく、子どもの行動レパートリーと生活の中で起きやすい条件を整理し、
どの行動を優先して育てていく必要があるのかを判断するための重要なプロセスです。
3. Communication
VBに基づく機能的コミュニケーション
オーティネットでは、VB(言語行動)アプローチに基づき、
言葉を語彙や文法としてだけでなく、生活の中で機能する言語行動として評価・分析します。
VBは、「好きなものを使って言葉を引き出す手法」や
「要求語を増やすことだけを目的」としたものではありません。
子どもたちの中には、話せる言葉や理解している言葉があっても、
必要な場面で自発的に使うこと、相手や場所が変わっても使うことに難しさが見られる場合があります。
そのため、どの場面で、何のために、どのように使えているかを丁寧に分析する必要があります。
【コミュニケーションはひとつではない】
たとえば「チョコ」という言葉でも、チョコが欲しいときに「チョコ食べたい」と伝える。
チョコを見つけたときに「チョコだ!」と伝える。
袋が開けられないときに「開けて」と助けを求める。
「どっちがいい?」と聞かれたとき「チョコを指差して」選ぶ。
「好きなお菓子は?」と聞かれたとき「チョコ」と答える。
友達に「半分こする?」と相談する。
同じ「チョコ」に関わる場面でも、必要なコミュニケーションは「ひとつ」ではありません。
VBでは、単語を言えるかどうかだけでなく、機能(使い方)に合わせた学習をします。
【理解・応答・会話まで含めて確認する】
聞いた言葉に応じて行動できるか、「甘いもの」「食べるもの」「お菓子」など、
特徴やカテゴリーから選べるか、質問に答えたり会話を続けたりできるかも重要なポイントです。
また、プロンプト(サポート)の必要性、必要な場面で自発的に使えるか、相手や場所が変わっても使えるか、
伝わらなかったときに別の表現を選べるかも確認します。
音声で話すことだけにこだわるのではなく、サイン(ジェスチャー)、絵カード、AACなども含め、
その子にとって伝わりやすく、生活の中で使いやすいコミュニケーションを検討します。
オーティネットでは、「発語が少ない・言葉で伝えることが難しい」という大まかな見方で終わらせず、
どの言語行動を、どの場面で、どのように伸ばしていくかを具体的に支援設計
していきます。
4. Naturalistic Teaching
NETを中心とした自然な場面での学習
オーティネットでは、NET(Natural Environmental Teaching)を中心に、
子どもの興味やモチベーションを活かしたABAセラピーを提供します。
NETは、ABAに基づくTeaching Model(教え方)のひとつです。
子どもが関わりやすい場面の中で計画的に設定し、
活動の中で生まれるモチベーション、自然なきっかけ(弁別刺激)、自然な強化を活かしながら、
必要な言語行動や社会的行動を育てていきます。
そのため、学習への参加につながりやすく、身につけた行動が生活場面にも広がりやすくなります。
【活動そのものを学習機会にする】
NETでは、「10回できたら好きな遊び」「10分座れたら休憩」のように、
課題を達成した後の報酬(ごほうび)を中心に進めるのではなく、
子どもが関わっている活動そのものの中に学習機会を作っていきます。
NETで、特に重要になるのが「遊び」です。
遊びは、子どもにとって自然な活動であり、コミュニケーションや社会的行動が生まれやすい場面です。
遊びの中には、「自分の世界を共有する」「人と関わる」「順番を待つ」「やりとりを楽しむ」など、
さまざまな学習機会が含まれています。
そのため、NETでは子どもの好きな遊びや興味を出発点にしながら、
そこで生まれる学習を計画的に広げていきます。
【興味を起点に、遊びと関わりを広げる】
子どもの興味を出発点にして、少しずつ遊びの幅や関われる活動を広げていくことも重要です。
たとえば、電車のおもちゃが好きな子どもであれば、ただ電車を走らせるだけではなく、
画用紙で駅を作る、粘土で線路やトンネルを作る、人形を乗せてストーリーを広げるなど、
興味のある活動を起点にしながら、展開や遊び方へつなげていきます。
その中で、「貸して」「次はこっち」「一緒に走らせよう」「直して」「順番ね」といった
やりとりが生まれるようにセラピーを設計します。
【遊びで、生活につながる行動を育てる】
行動分析で設計をした遊びを通して、
・要求・援助要求・模倣・共同注意・交代・順番を待つ・ルールに応じる・相手に合わせて行動する
といった行動(スキル)を育てていきます。
このようなNETでのセラピーには専門的アセスメントがとても重要になります。
子どもの興味、参加しやすい関わり方、現在の行動レパートリーを評価・分析したうえで、自然な場面の中に
学習機会を組み込んでいきます。
【NETとDTTを使い分ける】
特定のスキルを集中して教える場合には、DTTのように構造化を強めた教え方も
補助的に取り入れる必要があります。
大切なのは、特定の方法に子どもを当てはめることではなく、
子どもの現在の行動レパートリー、興味、学びやすい条件に合わせて、NETとDTTを適切に使い分け、
生活の中で使える行動を広げていくことです。
5. Behavioral Repertoire
行動レパートリーを広げる療育
行動のレパートリーとは、その子が生活の中で実際に使える行動の幅のことです。
・欲しいものを伝える・断る・助けを求める・待つ・切り替える・相談・交渉する・ルールに合わせる・人と関わる
なども、行動のレパートリーに含まれます。
ABA療育で大切なのは、不適切な行動を止めることだけではありません。
泣く、大声を出す、逃げる、物を投げるといった行動が、
本人にとって必要なコミュニケーション手段になっている場合があります。
【行動の全体像を整理する】
オーティネットでは、行動がどのような場面で起こりやすいのか、何がきっかけになっているのか、
行動によって何が得られているのか、または何を避けているのかなどを分析します。
同時に、その子がすでに使えている行動も把握します。
・どの場面なら伝えられるのか ・どの相手なら助けを求められるのか
・どれくらいの時間なら待てるのか ・どのような条件で切り替えられているか
・どの行動が促されればできるのか ・どの行動は生活の中でまだ使いにくいのか
このように、不適切な行動だけでなく、現在のさまざまな行動や環境を整理したうえで、
次に育てる行動を判断していきます。
【生活の中で使える行動として育てる】
行動のレパートリーを広げるとは、「行動を変える」ことではありません。
その子にとって使いやすく、
周囲にも伝わりやすく、生活の中で実際に使える行動を、段階的に育てていくことです。
こうした行動レパートリーを広げることで、
子どもが活動に参加できる場面、周囲と関われる場面、自分の意思を伝えられる場面を増やしていきます。
6. Social Interaction
人との関わり・集団への広がり
人との関わりや集団参加は、「集団に入る」「他の子供と一緒にいる」だけでは育ちにくいことがあります。
集団参加には、
・相手の様子を伺う・呼ばれたら答える・順番を待つ・欲しいものを伝える・断られたときに別の行動を選ぶ
・ルールに合わせるなど、複数の行動のレパートリーが関係しています。
こうした行動は、集団の中にいれば自然に身につくとは限りません。
【その子に必要な前提を見極める】
その子にとって必要な前提となる行動を整理することが重要です。
・どのような場面なら相手に注目しやすいのか ・どの状況で順番を待てるのか
・どんな遊びや活動なら他者と関わりやすいのか ・どの行動は大人相手に使えているか
・どの行動は相手や人数が増えた場面では使いにくくなるのか
こうした点を整理したうえで、個別で必要な行動を育て、
少しずつ他者との関わりや小集団の中で使えるように広げていきます。
【個別で育てた行動を、関わりの中へ】
個別セラピーで習得したコミュニケーションや行動を、
他者とのやりとり、遊び、ルールのある活動、小集団へと広げていきます。
また、順番を待つ、交代する、相手の提案を受け入れる、自分の希望を伝える、問題解決する、
といった行動も、実際の関わりの中で少しずつ学習していきます。
大切なのは、集団に入ること自体を目的にするのではなく、その子が人との関わりの中で使える行動を増やし、
自発的に参加できる活動や関われる場面を増やしていくことです。
7. Family Involvement
ご家庭との共有と生活場面への広がり
オーティネットのABAセラピーでは、セラピーだけでなく、家庭、園、学校など、
実際の生活の中で使える行動として広がっていくことを大切にしています。
セラピーでは、子どもの行動を直接観察し、評価・分析することができます。
一方で、日常生活の中でどのような困りごとがあるのか、
家庭や園・学校でどの行動が使えているのかを日常的に把握されているのは、保護者の方です。
そのため、オーティネットでは、定期コンサルテーション(保護者面談)を通して、
日常生活での様子を丁寧に伺いながら、
現在困っていること、生活をスムーズに進めるためのコミュニケーション優先して育てたい行動を整理します。
これは、保護者の方に一律の手順を求めたり、
ご家庭でセラピーと同じことを再現していただくためのものではありません。
【セラピーを生活につなげる】
コンサルテーションは、その子の生活やご家庭の状況に合う形で、
関わり方、目標、優先順位を共有し、セラピーの内容を日常の中で使える形に調整していくためのプロセスです。
セラピー、ご家庭、園・学校での様子を整理・関連づけながら、
子どもが生活の中で伝える、関わる、参加する場面が広がることを目指します。
