若井道子|行動分析士(IBA,BCaBA)
2026年9月25日
目次
01|ABA療育とは
ABAは、Applied Behavior Analysis(応用行動分析)の略称です。
人の行動と、その行動が起きる前後の環境との関係を科学的に捉え、生活や学習に役立てていく
行動分析学の応用分野です。
日本では、発達支援の場面で「ABA療育」という言葉が広く使われています。
そのため、ABAを「子どもに特定の課題を教える療育法」とイメージされることもありますが、
ABAは一つの決まった療育プログラムやテクニックの名称ではありません。
|ABAで扱う「行動」
ABAで扱う行動は、いわゆる問題行動だけを指すものではありません。
◆ 人に何かを伝える
◆ 必要なものを要求する
◆ 指示 に応じる
◆ 遊ぶ、着替える
◆ 友達に話しかける
◆ 集団に参加する
◆ 分からないときに助けを求める
など、私たちが日常生活の中で行っているさまざまなことが行動として扱われます。
そしてABAでは、行動だけを切り離して見るのではなく、
どのような状況でその行動が起きやすいのか、その後に何が起きているのか、
これまでどのような経験をしてきたのかなど、行動と環境との関係を確認していきます。
同じように見える行動でも、その背景や、本人が現在使える行動レパートリー、
環境との関係が異なれば、必要な支援も同じとは限りません。
行動レパートリーとは、その人が現在使える行動のまとまりです。
「何ができるか」だけではなく、どのような場面で、誰に対して、
どのような条件で使えるのかも見ていきます。
そのためABAは、「この場面ではこの声かけをする」「この方法を使えばうまくいく」といった
テクニック集とも異なります。
|ABAは一つの教え方ではない
ABAという言葉から、机に向かって課題を繰り返すDTT(Discrete Trial Teaching:個別試行指導)を
思い浮かべる方もいるかもしれません。
DTTはABAで用いられる教え方の一つですが、DTTそのものがABAなのではありません。
ABAを基盤とした実践には、言語行動に注目するVBに基づくアプローチや、PRT、ESDMなどが
あります。
また、教え方(Teaching Model)にも、自然な活動や日常場面を利用するNET、
試行を区切って教えるDTTなどがあります。
さらに、その中では強化、プロンプト、シェイピング、FCTなど、
目的に応じてさまざまな原理や手続きが使われます。
大きく整理すると、
ABAという科学的な枠組み
↓
ABAを基盤としたアプローチや支援モデル
↓
教え方(Teaching Model)
↓
個々の手続き
という関係で考えると分かりやすくなります。
同様に、「ABAはごほうびを使って行動を増やす方法」と説明されることもありますが、
これもABA全体を表した説明ではありません。
行動を増やす方法、
つまり「強化」はABAを理解するうえで重要な基本原理の一つですが、
強化を使うことだけでABAになるわけではありません。
また、ABAは発達支援だけのために作られたものでもありません。
教育、福祉、医療、組織・職場、安全、スポーツなど、人の行動が関わるさまざまな領域に応用されています。
では、何を大切にすることが「ABAらしい実践」につながるのでしょうか。
その土台を考えるうえで重要なのが、ABAを特徴づける7つの次元です。
02|ABAを特徴づける7つの次元
1968年、Baer、Wolf、Risleyは、応用行動分析を特徴づけるものとして
7つの次元(Seven Dimensions of Applied Behavior Analysis)を示しました。
これは特定の療育プログラムを示したものではありません。
ABAの実践において、何を対象とし、どのように評価し、どのような成果を目指すのか
という基本的な考え方を整理したものです。
Applied|応用的
研究のためだけに行動を扱うのではなく、実際の生活や社会生活にとって意味のある行動を対象とします。
療育であれば、「できる課題を増やす」 こと自体ではなく、その行動が本人の日常生活で
どのような意味を持つのかを考えることが重要です。
Behavioral|行動的
印象や性格だけで説明するのではなく、実際の行動を具体的に捉え、測定します。
たとえば「コミュニケーションが苦手」とまとめるだけではなく、どのような場面で、
誰に対して、どのような方法で伝えているのかを見ていきます。
これは、本人の気持ちや訴えを軽視するという意味ではありません。
支援につなげるために、実際の行動として何が起きているのかを具体的に確認します。
Analytic|分析的
支援を行った後に「なんとなく良くなった」と判断するのではなく、どのような条件や
支援が行動に影響していたのかを検討します。
記録を取ることは重要ですが、記録そのものが分析なのではありません。
また、支援前後で数値が変わっただけで、その支援が要因だったと決めることも
できません。
データを使いながら、行動に影響した条件をできる限り確かめていきます。
Technological|技術的
どのような支援を行ったのかを、必要な訓練を受けた他の人が確認し、実施できる程度に
具体的に記述します。
「たくさん褒める」「優しく声をかける」といった表現だけではなく、
いつ、どのような状況で、どの行動に対して、どのように対応するのかを明確にします。
Conceptually Systematic|概念的体系
支援は、場当たり的なテクニックの組み合わせではなく、行動分析の原理や考え方と
結びついていることが求められます。
支援のベースが行動原理とつながっていて、強化や刺激統制などの行動分析の概念から
説明できることが重要です。
Effective|効果的
データ上わずかな違いが出ればよいのではなく、
実際の生活にとって意味のある程度の成果につながっているかを確認します。
目標を達成したという数字だけでなく、それによって本人の生活で何が広がったのかを
見ることも大切です。
Generality|般化
療育の場面だけでできることを、最終的な目標にはしません。
学んだ行動が、人、場所、物、状況などが変わっても使われたり、関連する別の場面にも
広がったりすることを重視します。これを般化と呼びます。
また、時間が経っても学んだ行動が使われ続けることを維持といいます。
ABAでは、教えたその場でできたことだけではなく、日常生活の中で使え、続いていくことまで考えます。
この7つを見ると、
ABAが「行動 を増やす・減らすための方法」だけではないことが分かります。
生活にとって意味のある行動を扱い、行動を具体的に捉え、支援と行動との関係を確かめ、
その人の日常生活で実際に役立つところまで考える。
こうした考え方がABAの土台にあります。
では、
これらを実際の療育に落とし込むと、どのような流れで支援が行われるのでしょうか。
03|ABA療育では何をするのか
ABA療育では、決められた課題やプログラムを、すべての子どもに同じように行うわけではありません。
まず、その子が現在どのような行動を使えているのか、どのような場面で困りやすいのか、どのような教え方が
合っているのかを確認するところから始まります。
|ABA療育の基本的な流れ
ABA療育では、一般的に、
アセスメント → 目標設定 → 支援 → 記録 → 評価 → プログラムの見直しという過程を繰り返します。
最初に行うのがアセスメントです。
年齢や診断名だけで判断するのではなく、行動観察や本人・家族からの情報を通して、
現在使える行動レパートリーや生活上の必要性を確認します。
たとえば「言葉が少ない」という場合でも、
▷ 欲しいものをどのように伝えているのか
▷ 拒否や休憩をどのように伝えているのか
▷ 人の言葉にどのように反応しているのか
▷ 音声以外に、指さしやサインなどを使っているのか
▷ どのような状況では伝えやすいのか
など、実際に使われている行動を細かく見ていきます。
そのうえで、本人や家族にとって意味のある目標を設定し、教え方や環境を設計します。
支援を始めた後も記録を取り、学習の経過を確認します。
ここで重要なのは、一度作ったプログラムをそのまま続けることではありません。
想定通りに学習が進まなければ、「本人に問題がある」と考えるのではなく、
課題の難易度、教え方、プロンプト、強化の方法、練習量、環境などを見直します。
データをもとに、支援する側の方法も修正していくことがABAの重要な特徴です。
|ABA療育ではどのようなことを支援するのか
ABA療育で支援する内容は、言語だけに限られません。
たとえば、
▶ 要求・拒否・会話などのコミュニケーション
▶ 遊びや余暇の広がり
▶ 指示や質問に応えること
▶ 人と一緒に活動すること
▶ 学習に関連する行動
▶ 着替えや食事などの身辺自立
▶ ソーシャルスキル
▶ 家庭や学校で必要となる行動
▶ 問題行動への支援
など、幅広い領域を扱います。
同じ年齢、同じ診断名であっても、必要な支援が同じとは限りません。
ある子には「欲しいものを伝える」ことが重要かもしれませんし、
別の子には「分からないときに助けを求める」「友達との会話を続ける」
「自分で予定を確認する」「気持ちを切り替える」といった行動が重要かもしれません。
評価尺度や発達的なカリキュラムをベースにすることもありますが、
全員が同じ課題を同じ順番で進めるわけではありません。
現在の行動レパートリーと、その人の生活で何が必要なのかを確認しながら、
目標と教え方を個別に設計していきます。
また、「ABA療育」と呼ばれる支援がすべて同じ開始年齢や時間数を前提としているわけでもありません。
早期集中行動介入はABAを基盤とする支援の一つですが、
ABAそのものが早期・長時間の療育だけを意味するわけではありません。
支援の頻度や時間も、目標、本人の学習機会や負担、家庭・学校での生活などを踏まえて
検討する必要があります。
では、このような支援を設計するとき、
ABAでは行動をどのように捉えているのでしょうか。
ここからは、ABAの基本となる行動の原理を見ていきます。
04|ABAの基本原理 ― 行動はどのように学習されるのか
ABAでは、行動をその人の性格や意欲だけで説明するのではなく、行動と環境との関係を見ていきます。
なぜその行動が起きたのか。どのような条件で起きやすいのか・起きにくいのか。
そして、その行動がどのように学習され、続いているのか。
こうした関係を整理するために、ABAにはいくつかの基本的な概念があります。
4-1|行動の前後を見る
先行条件・行動・結果
ABAでよく使われる基本的な整理の一つが、
先行条件 (Antecedent) → 行動(Behavior) → 結果(Consequence)
という見方です。
頭文字から「ABC」とも呼ばれます。
先行条件とは、
行動が起こる前の状況です。誰が何をしていたのか、何があったのか、
どのような指示があったのか、何がどのような物や活動にアクセスできる状況だったのか
などを確認します。
そして、実際に起きた行動と、その直後に環境で何が起きたのかを見ていきます。
たとえば、
子どもがお風呂から出てすぐに「お茶」と言った後にお茶が渡されたのであれば、
「お風呂から出た」という先行条件、「お茶と言った」という行動と、その後に得られた
結果を記録することができます。
ただし、行動の前後を一度記録しただけで、その行動の理由が分かるわけではありません。
同じ行動でも、場面や相手、その日の状態などによって関係する条件は異なります。
ABC記録は行動を整理する有用な方法ですが、ABC欄を埋めること自体が分析なのでは
ありません。
この点は、第6章の問題行 動への支援で詳しく扱います。
4-2|行動が増える・減る仕組み
行動は、その後にどのような結果が続くかによって、
同じような状況で将来起こりやすくなったり、起こりにくくなったりすることがあります。
その代表的な考え方が、強化・弱化・消去です。
強化
強化とは、ある行動に続く結果によって、その行動が将来起こりやすくなることを
いいます。
ここで重要なのは、
「褒めること=強化」ではない
という点です。
たとえば大人が子どもを褒めたとしても、その後、その行動が増えていなければ、
行動分析上は「強化された」と判断することはできません。
反対に、大人が「ごほうび」と考えていないものでも、
その結果によって行動が増えているのであれば、強化子として機能している可能性が
あります。
行動を増やすように働く刺激や出来事を強化子と呼びます。
本人が好きなものは強化子の候補にはなりますが、
好きなもの=強化子と決まっているわけではありません。
実際にその後の行動にどのような影響を与えたのかを見る必要があります。
また、4-3でも詳しく扱いますが、強化子としての価値は常に一定ではありません。
時間や状況、そのときの状態などによって価値が変わる、流動的な特徴があります。
強化には、正の強化と負の強化があります。
正の強化は、
行動の後に何かが加わることで、その行動が起こりやすくなることです。
負の強化は、
行動の後に何かが取り除かれたり、避けられたりすることで、その行動が起こりやすくなることです。
たとえば、
負担が生じている活動中に「休憩」と伝えた後に休憩でき、その後も同じような場面で
「休憩」と伝える行動が増えたのであれば、負の強化として考えることができます。
弱化
弱化とは、
ある行動に続く結果によって、その行動が将来起こりにくくなることをいいます。
英語ではpunishmentと呼ばれますが、日常語の「罰」とは意味が異なります。
叱る、注意する、厳しく対応するといった行為そのものを弱化と呼ぶのではありません。
その結果として、その後の行動が実 際に減ったかどうかによって判断します。
一時的に行動が止まっただけで、「弱化された」と判断することもできません。
弱化にも正の弱化と負の弱化があります。
ここでいう「正・負」は、良い・悪いという意味ではありません。
正は「何かが加わる」、負は「何かが取り除かれる」ことを表します。
◇正の強化:何かが加わり、行動が増える
◇負の強化:何かが取り除かれ、行動が増える
◇正の弱化:何かが加わり、行動が減る
◇負の弱化:何かが取り除かれ、行動が減る
そのため、「負の強化」は行動を減らす手続きではなく、行動を増やす仕組みです。
同様に、正の弱化は行動を減らす仕組みです。
消去
消去とは、
それまでその行動を維持していた強化子が、その行動によって得られなくなることと、
それに伴って行動が減少していく過程を指します。
ここで注意したいのは、
消去=無視
では ないということです。
何がその行動を維持しているかによって、消去の手続きは異なります。
また、消去を始めれば行動が滑らかに減っていくとも限りません。
一時的に行動が増えたり、強くなったりすることもあります。
そのため、「消去すればそのうち減る」と一律に考えることはできません。
強化・弱化・消去は、ABAを理解するうえで重要な基本原理です。
しかし、基本原理として知ることと、療育の中でその手続きを積極的に採用することは
別の問題です。
本人への負担や生活上の意味を踏まえ、どのような支援を選ぶかを考える必要があります。
4-3|行動が起きやすい条件 ― SDとMO
行動は、その後の結果だけで決まるわけではありません。
どのような状況でその行動が起きやすいのかも重要です。
弁別刺激(SD)
弁別刺激(Discriminative Stimulus:SD)は、これまでの学習を通して、
ある行動をすると強化が得られやすいことを示す手がかりです。
SDにはこれ以外の側面もありますが、
ここでは、行動と強化の関係を示す手がかりとしての役割に焦点を当てて説明します。
たとえば、大人が「なに?」と聞かれた時に欲しいものを答える経験を重ねていれば、
「なに?」と聞かれることが、要求する行動の手がかりになる場合があります。
私たちは日常生活の中で、相手の言 葉、場所、物、状況など、さまざまな手がかりをもとに行動を
使い分けています。
療育でも、「できる・できない」だけではなく、
何を手がかりにその行動が起きているのかを見ることが重要です。
動機操作(MO)
同じものでも、いつでも同じ価値があるわけではありません。
たとえば、喉が渇いているときには飲み物の価値が高まります。
そして、これまで「水がほしい」と伝えることで水をもらえた経験があればその要求行動は
起こりやすくなります。
一方、十分に水分を取った直後であれば、同じ飲み物でも価値は下がります。
このように、強化子の価値を一時的に変え、それに関係する行動の起こりやすさに影響する条件を、
動機操作(Motivating Operation:MO)と呼びます。
SDが「その行動によって結果を得られそうか」に関わるのに対し、
MOは「その結果が今どの程度価値を持っているか」に関わります。
そのためABA療育では、「この子はこれが好きだから、いつでも強化子になる」と
固定的に考えず、その時の活動や本人の状態も確認します。
4-4|新しい行動を教える
ABAでは、行動が起こる仕組みを見るだけでなく、まだ十分に使えていない行動や新しい行動を
どのように教えるかも考えます。
プロンプト
プロンプトとは、目的とする行動が起こりやすくなるように加える手助けです。
言葉でヒントを出す、見本を見せる、指さしをするなど、さまざまな方法があります。
大切なのは、プロンプトを使うこと自体ではなく、
その子が学習しやすいプロンプトの種類と量、タイミングで計画的に使うことです。
フェイディング
プロンプトによって行動できても、いつまでも同じ手助けが必要であれば、自立した行動にはつながりません。
そこで、習得状況を確認しながら、プロンプトを段階的に減らしていきます。
これをフェイディングと呼びます。
最終的には、支援者からのヒントではなく、日常生活の中に本来ある手がかりで行動できることを目指します。
シェイピング
最初から完成した行動を求めるのではなく、目標となる行動に近い反応を強化しながら、
少しずつ目標に近づけていく方法がシェイピングです。
たとえば、まだ明瞭な発音が難しい場合に、最初から完全な発音だけを求めるのではなく、現在できる反応から
少しずつ近づけていく、といった手続きです。
4-5|学んだ行動を生活で使う ― 般化と維持
療育の中でできるようになっただけでは、生活の中で十分に使えるとは限りません。
教わった人には要求できるけれど、家族には要求できない。療育の部屋ではできるけれど、学校ではできない。
特定の教材では選べるけれど、別の教材になると同じようにできない、といったこともあります。
そこで、人、場所、物、活動などが変わっても学んだ行動を使えるようにすることを考えます。
これが般化です。
また、時間が経ってもその行動を使い続けられることを維持と呼びます。
ABAでは、新しい行動を教えるだけでなく、その行動が実際の生活の中で使え、
続いていくところまで設計することを重視します。
05|ABAにはさまざまなアプローチと教え方がある
ここまで見てきた基本原理は、さまざまなABA実践の土台になります。
ただ、ABAを基盤としていても、どのようなスキルを重視するのか、
どのような場面で教えるのかによって、アプローチや支援モデルには違いがあります。
この記事では全体像を理解しやすくするため、
ABAという科学的な枠組み
↓
ABAを基盤としたアプローチ・支援モデル
↓
NETやDTTなどの 教え方(Teaching Model)
↓
プロンプト、シェイピング、FCTなどの手続き
という形で整理します。
厳密には各カテゴリーが完全に独立しているわけではありませんが、
ABAの全体像を理解するうえでは、このように考えると分かりやすくなります。
|VBに基づくアプローチ
VB(Verbal Behavior)は「言語行動」を意味し、B.F.Skinnerが提唱した言語行動の分析を基盤としています。
VBに基づく支援では、言葉を単に「話せる単語の数」などで見るのではなく、
その言葉が、どのような条件で、どのような機能を持って使われているのかに注目します。
たとえば、同じ「りんご」という言葉でも、
▶りんごが欲しくて「りんご」と言う
▶りんごを見て「りんご」と言う
▶「好きな果物は?」と聞かれて「りんご」と答える
では、行動としての機能が異なります。
VBでは、要求する「マンド」、
見 たものや出来事について伝える「タクト」、
質問への応答や会話などに関係する「イントラバーバル」など、
言語行動を機能的(目的)に捉えていきます。
また、コミュニケーションは音声言語だけに限定されません。
必要に応じてサインやAAC(補助・代替コミュニケーション)なども含め、
本人にとって使いやすいコミュニケーションの方法を増やすことを考えます。
PRT(Pivotal Response Treatment)
PRTは、ABAを基盤とした自然主義的なアプローチの一つです。
特徴は、個々のスキルを一つずつ教えることだけではなく、さまざまな行動や学習に広く影響すると考えられる「中核的な領域(pivotal areas)」に働きかけることにあります。
代表的な領域には、モ チベーション、自発的な働きかけ、複数の手がかりへの反応、自己管理などがあります。
本人の選択や興味を尊重し、既習課題と新しい課題を組み合わせながら、適切な試みや自然な結果を活用して
学習を進めます。
ESDM(Early Start Denver Model)
ESDMは、主に幼い自閉スペクトラム症の子どもを対象として開発された早期支援モデルです。
ABAの学習原理と発達的な視点を組み合わせ、遊びや人とのやり取りの中で、
コミュニケーション、社会性、認知、運動など幅広い領域を扱います。
子どもの興味や活動への参加を生かしながら、学習機会を作っていくことも特徴です。
|ロバース式の早期集中行動介入
Ivar Lovaasらが提唱した早期集中行動介入は、ABAを基盤とした複数領域を対象とした支援モデルの一つです。
DTTを多く用いて複数の学習領域を扱う実践として広く知られるようになりました。
ここで重要なのは、
ロバース式という支援モデル、
DTTという教え方、
ABAという科学
を同じものとして扱わないことです。
ロバース式ABAがDTT、DTTがABA全体を表すわけではありません。
|NET ― 自然な活動に学習機会を作る
NET(Natural Environment Teaching)は、
自然な活動や日常生活の中に学習機会を作る教え方(Teaching Model)です。
たとえば、子どもがシャボン玉で遊びたい場面で「吹いて」「いっぱい」といった要求を教えたり、
お店屋さんやごっこ遊びの中で会話を練習したりします。
本人がその時に興味を持っているものや活動を活かしたり、新たに興味を引き出しながら
学習機会を作れることも特徴です。

